裏猫道
裏猫道
R18
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大変、古典的な表現ではあるが、小鳥の鳴き声でナルトは目覚めた。起き上がると、傍には、衣服をきちんと身に着けているカカシがいた。
「言っておくけど、おまえ朝風呂は無理だからね」
「あー……」
ナルトは気の抜けた声を上げると明るい日の光の下で己の身体を見下ろした。
肌蹴た浴衣から赤い痕が幾つも咲いている。首筋、胸元、とくに足の付け根の内ももに集中している赤い点に、ナルトは心の中で変態とカカシを罵った。
カカシは浴衣を乱して、無防備に足を開脚している少年に苦笑する。
「はい、おはようのちゅー」
「うう、カカシ先生。昨日寝てたのかよ」
「それなりに寝たよ?」
アヤシイ…という顔でナルトがカカシを睨む。
「とっても美味しかったよナルト」
もう一度、額に口付けられ、ナルトは考えることを放棄した。カカシ先生が幸せそうならそれでいいや。
カカシと指と指を絡め合い、ナルトは半開きになったままの唇に差し込まれた舌の感触に瞼を瞑った。
「なー、なー、なー、イルカ先生のお土産はこれでいいかなぁ?」
「あー、こっちの辛子入り饅頭でいいんじゃない?」
「そんなんダメだってば。おっし、こっちの温泉の素で決まり!」
「えー…」
「へへへ、イルカ先生喜んでくれっかなぁ。って、カカシ先生、何ブツブツ文句言ってるんだってば!」
猫背になっている大人の背中をバンバン叩いて、ナルトはお土産物屋を出た。
「お世話になりましたってば!」
ナルトは元気良く挨拶をして、フロントで鍵を返却する。
「もう行っちゃうのね残念だわ」
「オレももうちょっとここに居たかったけど、身が持たないというか、体力が持たないっつーか…」
「?」
「へへへ」
受付係の女性は、不思議そうに首を傾げてから、フロントに名刺らしき紙を滑らした。
「ね、これ。わたしの住所なの。今度、この街に来る時は是非寄って欲しいわ」
「え、これ。オレに?」
目を見開くナルトに、もちろん貴方によ、と受付嬢は愛嬌のある笑みを見せる。
「あー、ごめんってば。オレってば綺麗なお姉さんは好きだけど…」
ナルトは片頬を掻きながら、横にいたカカシの腕を引っ張る。傍目にはわからない程度に不機嫌そうなカカシの表情に苦笑して、仕方ないなぁと笑いがこみ上げてくる。
「オレってばこの人のことがもっと好きなんだってば」
「え!?」
呆気に取られてた受付係の女性の顔を見てナルトはニシシと笑う。その横では昨晩いち早く二人の関係を思い知らされた仲居の女性が微妙に顔をヒクつかせている。
「ほら、カカシ先生。行くってばよ」
「普段はみんなの前では言ってくれなくなったのに……」
「たまにはサービスだってばよ」
「それは気前がいいことで。オレもナルトが大好きだよー?」
「おう、オレも!」
公共の場で甘い雰囲気を漂わせる二人を前にして結局、ニコニコとした鉄壁の笑みを保っていたのは女将の女性だけだった。
「ナルト。他の年上の男も好きなの?」
「んだよそれ。もちろんカカシ先生だけだってばよ?」
「それじゃあここでキスして?」
「へ!?」
「お願い…聞いてくれるんでしょ?」
「~~~っ」
「ナルト…」
「……もー、仕方ねぇなぁ。本当は昨日だけたったんだからな。言うことなんでも聞くの」
ぶすむくれながらも、ナルトの爪先が上がる。フロントの女性陣は、突然のラブシーンにあさっての方向を向いたり、慎ましやかに袖で顔を隠したり、俯かなくてはいけなかった。
「サックラちゃ~~ん。温泉旅行のお土産買って来たんだってば!」
「は?あんた、いつの間に温泉なんて行ってたのよ」
「シシシ。バァちゃんに頼み込んでカカシ先生とお正月に行って来たんだってば」
「くそ忙しいお正月の時期に?はぁ、ホッント師匠はナルトに甘いんだから……」
「これこれ。オレセレクトのイカすお土産!」
「何よこれ…」
「サクラちゃんにぴったりのお花模様のゴム風船だってば」
「へえ………って、ちょっとナルト、これって」
「んあ?」
サクラはくの一の特別授業の時に見せられたものと酷似している代物を受け取って顔を強張らせる。
「アンタ、カカシ先生と付き合ってるくせになんでこんなことも知らないのよ…!!」
「え、え、えっ……!?」
「まさか、カカシ先生は使ったことないとか!?あのサイテー変態上忍!」
ナルトは、目を白黒とさせて自分が購入したお土産に目を落とす。味付き香料付きだというパッケージを掲げ、そういえば以前にカカシが同じようなものを見せてくれた覚えがあるような、と元ドベの頭で考える。
「えっともしかしてこれってば……」
カカシが使用していたのはもっとシンプルな製品だったと思うが…。
「きゃーーー、待って、ナルト。これ以上乙女の前で何も言わないで。いーい、これは紛れもなくゴム風船よ……!!」
「ど、どっちだってばよ」
「大体、これ買う時カカシ先生あんたに何も言わなかったわけ!?」
「え、ええと確か〝そうだな、サクラにもそろそろ必要な時が来るかもしれない。ナルト、是非サクラに買って行ってあげなさい。イチ教師として許可する〟って言ってたてば」
「ナールト。甘栗甘行くんじゃなかったの~。遅いから迎えに来ちゃったでしょ」
「あ、カカシ先生」
「…………しゃーんなろカカシ先生っ!!」
春野サクラが憤怒したのは言うまでもない。
サクラちゃんオチ!
22222hitアンケート企画の小説これにて終了です。
サービス小説でした。
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