「腰、痛ってぇ……」
「はー、気持ち良かったぁ」
浴衣姿の少年が腰を擦りながら泣きそうな顔で廊下を歩く。その少年の隣ですでに温泉に入ったあとのような感想を漏らしている同じく浴衣姿にこちらはドテラを羽織っている銀髪の大人。
「カカシ先生は最初っから飛ばし過ぎなんだってばよ……!!」
廊下に並んで歩いていた銀色の大人と金色の少年のうち、少年の方が大人に向かって、びしと指を差す。
カカシはナルトの肌蹴た浴衣の足の部分を直してやりつつ、肩を竦めた。
「もー、カカシ先生とは口利くもんか!」
「えー、それは駄目だよー」
「はぁ?」
「なんでも言うこと聞いてくれるって、ナルトさっき言ったでしょ」
「いつ」
「セックスの時、おまえイキたくてイキたくてオレに可愛くおねだりしてたでし…」
「うわわわわ」
口布を装着したカカシの口元をナルトは慌てて塞ぎに掛った。
「んなこと人がいっぱい居るとこで言うなってば!」
「えー、だって本当のことでしょ?」
顔を赤くしたナルトに、カカシはやんわりと微笑んで「さ、手を繋ごうか?」とナルトの左手を引く。
「だって、オレはおまえとの約束守ったから、今度はナルトが守ってくれる番でしょ?」
「ちょ、恥ずかしいってば。オレってばもうガキじゃないんだし、カカシ先生と手なんか繋がないってば!」
「だーめ。オレの言うこと聞いてくれるんでしょ?」
「そんなのズルいってばよカカシ先生!」
平静とはいえない状態での約束なんて、とナルトはカカシに手を引かれながらも、抗議の声を上げる。
「自分の言ったことはゼッテー曲げないんじゃなかったの、ナルト?」
「うっ!」
「約束を反故するってことはつまり…そうか、おまえの男気はそんな程度のもんだったわけね」
「ううう~。オ、オレってば自分の言葉はゼッテー曲げねえ男!」
「言いきったね?」
「………おう」
「はい、それじゃあ、もっとくっついてね~。寄る、寄る」
上機嫌でナルトと手を繋ぐカカシのペースに巻き込まれて、ナルトは顔が赤くなってはしないだろうかとビクビクしながらも、真っ赤な顔で、廊下を歩いた。